#家族再統合

子どもの虐待対応マニュアル http://www.pref.aichi.jp/jiso/annai/manyu/chiiki/manyu_chiiki_1.htmlより引用・抜粋


 ここで言う家族再統合とは、「親子が親子であり続けられる親子関係・親子形態の再構築」であり、「親子が安全かつ安心できる状態で互いを受け入れられるようになること」で、必ずしも親子が一緒に住み暮らすことではない。
 「多面的な支援を提供して、子どもと家族との関係を再構築していく過程で、最適とされる統合形態」がその家族にとっての再統合の形である。従って、虐待の重症度、分離の有無にかかわらず、家族機能の再生・回復を広く家族再統合と考える。また、ここでの家族は、子どもを養育する環境の担い手と広義に捉える。従って、核家族のみならず、祖父母や親類も含む拡大家族なども含む。子どもと家族との関係を再構築する一連の支援プロセスの結果、最適とされる統合形態は、何よりも子どもの利益に立つという視点が明確に貫かれ、子どもと家族のニーズを考慮し、さらに子ども、家族、援助者が納得できる形で導き出されることが必要である。


 児童虐待、特に緊急性の高い重症事例では、親は虐待を否認していることが多く、そのため介入に対して怒りや被害感が生じ、支援機関と関係を結ぶことが困難になる。たとえ子どもの安全を保障するためになされた意思決定であっても、子どもは家族から離れることを望まず、家族からの分離が心理的な外傷体験となることも少なくない。そのため分離を余儀なくされた後の子どもと家族への手厚い支援プログラムが必要となる。子どもと家族に対して、初期対応における支援方針のみならず、中・長期的な支援プランの中での家庭復帰の見通しを告げた上で、虐待行為と向き合えるような支援とケアを行うことが必要となる。

(中略)

 なお、家族再統合の必要性はあらゆる事例に共通するものであるが、性的虐待のように発見・保護はできても、実効性のある対応の取れないまま再統合に至るまでの道のりのきわめて険しい事例も少なくない。家族再統合を急ぐあまり加害者の責任所在、虐待の発生構造をあいまいにしたまま安易な支援が推し進められた場合、子どもをさらなる窮地に追い込む危険性のあることも、十分に認識しておくことが必要である


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